この法人は、一般市民、医療機関及び医療従事者に対して、地域社会における小児救急医療に関する支援や啓発普及、

調査、研究、人材育成などに関する事業を行い、保健、医療、社会教育の推進、こどもの健全育成に寄与することを目的として活動しています。

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2.発熱? 病気?

こどもは平熱が高いので、体が熱く感じられても、発熱ではないことがあります。また、予防接種のあとに副反応として出る熱は、病原体が体に悪影響を及ぼしているわけではなく、様子を見ていれば下がってきます。

 何度から、発熱?

子どもでは38℃を越える場合は、「発熱」と考えます。37℃台は単に体温が高いだけか異常か、判断は難しいです。

個人差があり、日頃の体温が36℃前半の子どもでは発熱の可能性が高いですが、37.037.5 ℃が平熱の子どももいます。

 

また、食後1時間以内・運動後・興奮している時などは体温が上昇します。

食後1時間以上空けて安静にしている時の体温を平熱として、日頃の平熱を知っておくことは大事です。

 

病気の場合は、体がだるい・不機嫌・食欲がないといった全身状態の悪化や、咳・鼻水や嘔吐・下痢など他の症状が出てくる場合が多いので、何らかの症状を伴う場合は「病気による発熱」と考えればいいでしょう。

 赤ちゃんの体温は?

0歳児の体温は、子どもの中でも高めです。

新生児の平熱は36.737.5℃、乳児は36.837.3℃です。

出生後2週間~1か月は、冷えないようにすることが大事ですが、産科入院中の病室と同じ環境温度を設定する必要はありません。

ご家族が寒すぎず暑すぎない環境で、赤ちゃんの衣服や寝具を調整すればいいでしょう。

産科と同じ程度の環境温度にしている場合は、産科で着ていた服や寝具を思い浮かべて、同程度の温かさにしましょう。

 

 

生後1か月を過ぎれば、だんだん周囲の環境に慣れてきますが、まだ体温は高めです。

環境が暑いと体が熱く、暑さで機嫌が悪くなりよく泣いて、泣くとさらに体温は上昇するという場合もあります。

 

 

熱っぽいようでも、37℃台でお乳をよく飲んでいれば、体調が悪いことはほとんどありません。

まずは対処方法として、背中に熱がこもらないように抱っこしたり、服や寝具を少し減らして涼しくしてみるといいでしょう。

 予防接種後の発熱

予防接種後に熱が出ることがあります。

生後23か月から予防接種が始まるので、この時期に熱が出ると心配される方も多いのではないでしょうか。

 

予防接種は病原性のないまたは極力抑えた病原体を接種し、体の中の免疫力をつけるために行います。

接種後数日以内の発熱は、接種に対する体の反応で、実際の病気のように病原体が体内で増えているわけではありません。

発熱があっても、機嫌や元気さや哺乳力は悪くないことが多く、反応は一過性、ピークは一つで、24時間以内にほぼ熱は下がります。

 

熱が高くても機嫌や哺乳力が悪くない状態ではあれば、慌てずに家庭で様子を見ましょう。

乳児期早期は温め過ぎないように、後期以後であれば冷却し、水分補給や哺乳を多めにして様子を見ます。

一旦下がった熱がまた上がる場合や24時間過ぎても熱の下がる傾向がない場合は、たまたま他の病気にかかった可能性があります。その時点で小児科を受診するようにしましょう。

 

 

周囲の環境の温度が高いと、「うつ熱」といって体温が上がることがありますが、これについては、

次回「熱中症?」の話題で述べます。

 

 

参考資料:三川 宏 新生児・乳児の体温計測 BME2;p.199-200,1988

        基礎データ編 | こどもの健康と救急 - 桑原医院

              URL: www.pedi-kuwabaraclinic.jp  children

 この記事の執筆者 福井 聖子

当団体 NPO法人小児救急医療サポートネットワーク理事長  

大阪府小児救急電話相談事務局所長

大阪市小児科医会 理事